ニュース・お知らせ

2016年3月18日(金)19:00開演(18:30開場) Hakuju Hall

渋谷区富ヶ谷1-37-5 (株)白寿生科学研究所ビル7F
TEL.03-5478-8867

主催
一般財団法人 Classic for Japan
共催
木魂(こだま)の会

津波ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロによる
チャリティーコンサート
「祈り」

3月18日、Hakuju Hall(東京都渋谷区)にて、
【津波ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロによるチャリティコンサート「祈り」】が開催されました。

280名もの皆様と一緒に、もう一度震災を思い起こし、流木から作られた楽器の響きに包まれる時間を持つことができました。
またこの活動の大切さ、果たす役割を改めて考える機会をいただきました。

出演
宮本笑里(ヴァイオリン) 、碓井俊樹(ピアノ)、中木健二(チェロ)、須山暢大(ヴァイオリン)、
黒沼ユリ子(ヴァイオリン)、澤 和樹(ヴィオラ)、波多野せい(ヴァイオリン)、中澤きみ子(ヴァイオリン)

ボランティアで出演くださった奏者の皆さまの震災に寄せる深い思いは、演奏とともに聴く人の心に届きました。
中でも日ごろ聴く機会の少ないTSUNAMIヴィオラ、TSUNAMIチェロの響きは新鮮で、
カルテットも味わい深くお聴きいただけました。また節目節目には、このような機会を持ちたいと願っております。
ご来場の皆様、各地でご支援してくださいました皆さまに心よりお礼申し上げます。
どうぞこれからも息長くご支援ください。

津波ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロによるチャリティコンサート「祈り」

祈りコンサートのチケット収益 84万円(280席分)は全額、「花巻・金星少年少女オーケストラ」に寄付させていただきました。

金星少年少女オーケストラの演奏会で、ヴァイオリニスト湯原佑依さんの津波ヴァイオリンの演奏後、
チャリティーコンサートを共催していただいた「木魂(こだま)の会」の副会長日當和孝様より
代表の多田貢様に目録が手渡されました(3月27日)。

ヴァイオリニスト湯原佑依さん

3月18日 チャリティコンサート「祈り」プログラムより出演者からのコメント* 演奏順

宮本笑里 Emiri Miyamoto (ヴァイオリン)
皆様、本日は足を運んでくださり本当にありがとうございます。東日本大震災を絶対に風化させないようにと、中澤宗幸様の強い想いが込められた津波ヴァイオリン。弾かせていただくたび輝きを増す音色に驚かされ、音楽の持つ力とヴァイオリンの魂の凄みを改めて実感します。今日、ここで演奏させていただける光栄に、背筋が伸びる思いです。これからも日本全国、そして世界へと響きを広げ、皆様へと、想いがつむがれ続けますように。願いと心を込めて演奏させていただきます。
碓井俊樹 Toshiki Usui (ピアノ)
震災後、日本人のアイデンティティは世界各国で見直される事になったのではないでしょうか。日本人が忘れかけていた文化や力は、皮肉にも震災をきっかけに大きく世界に発信される事になり、それに付随して私達演奏家も日本という国を深く意識せざる得ない環境となりました。世界共通言語は各国に存在しますが、私達はどの国にもある‶音楽″という共通語を通して震災被災地の復興、各国への啓蒙は勿論の事、日本人のアイデンティティを高めていく事が今後より重要と考えます。
中木健二 Kenji Nakagi (チェロ)
この度このような機会を得て、チャリティコンサートに出演させていただけますことを大変光栄に思います。東日本大震災が起きた2013年夏、多くの方のご協力を得て陸前高田第一中学校で演奏させていただきました。学校の音楽室を会場とした演奏会でしたが、そのとき子供たちと共有した時間・空間は私にとってかけがえのないものとなりました。 多くの音楽家によって引き継がれてきた楽器とその想いを未来につなげるような、温かさに包まれた演奏会となりますことを強く願っています。
須山暢大 Nobuhiro Suyama (ヴァイオリン)
本日は、私が尊敬しています中澤宗幸氏が製作された、TSUNAMIヴァイオリンによるコンサートに素晴らしい出演者の方々と一緒に演奏出来、大変光栄に思っております。私が初めて楽器を弾かせて頂いた時、製作されたばかりとは思えない、何か特別な声を持った楽器だと強く思ったのを覚えています。今年は震災から5年経ちますが、その楽器の声は様々な想いを乗せて、これからも響き続けてくれると思います。本日は楽器の声に耳を傾けながら、心から演奏したいと思います。
黒沼ユリ子 Yuriko Kuronuma (ヴァイオリン)
「あれはガレキの山なんかではなく、思い出の山じゃない?」と、海から戻って来た木材の山をテレビで見て言われた中澤きみ子さん。何と崇高な発想でしょう! その後、中澤宗幸さんによってヴァイオリンからヴィオラやチェロにまで生まれ変わった「思い出の詰まった板」たちは、これから永久に「痛みと励まし」のこもった音色で、あの未曾有の大悲劇を音楽を通して語り続けます。何しろ、あの「奇跡の一本松」の幹からとられた「魂柱」が、楽器の内側から連帯証言しているのですから。津波ヴァイオリンを手に演奏すると、おのずと気持ちが引き締まるのは私だけではないと思います。
澤 和樹 Kazuki Sawa (ヴィオラ)
中澤宗幸さん製作の津波ヴァイオリンやヴィオラを、これまで何度か弾かせていただいていますが、新作の楽器に共通する生硬な音色とは違った、血の通った"ぬくもり"を感じます。 人の魂は、木や石に宿ると言われますが、東日本大震災と直後の大津波で流され、打ち上げられた流木には、犠牲となった方々の無念な思いや、ご遺族の気持ちが乗り移り、それを楽器として蘇らせた中澤さんの思いや、それを演奏する弦楽器奏者の慰めや追悼の気持ちが、共鳴する事を実感します。震災の悲劇から5年を経た今こそ、もう一度、清らかな心で、演奏を捧げたいと思います。
波多野せい Sei Hatano (ヴァイオリン)
5年前の3月11日、東日本大震災の日の事は今でも鮮明に思い出されます。 2014年1月紀尾井ホールにて行われた黒沼ユリ子先生のリサイタルで、初めて大震災、被災地への思いの全てを込められた「津波ヴァイオリン」を先生と弾かせて頂きました。以来、各地で先生と演奏させて頂いて参りましたが、津波ヴァイオリンの存在、音色は、人々の、そして私自身の励ましや心の支えとなる事をいつも実感致します。これから先、どれ程の時を経ても、津波ヴァイオリンは人々の心に大切なメッセージを永遠に送り続けるのだと思います。
中澤きみ子 Kimiko Nakazawa (ヴァイオリン)
震災の1年後に最初の津波ヴァイオリンができ、初めて手にしてから4年、ずっと津波ヴァイオリンと歩んで参りました。法隆寺や伊勢神宮、明治神宮などでの奉納演奏はもちろんですが、全国各地で多くの皆様がこの音色を聴き、記憶の糸をたどり、祈ってくださったことは心に強く残っております。中でも花巻で被災した沿岸の中学生に聴いていただいた時には、その痛みが伝わり、胸がつぶれそうになったのを忘れることができません。5年が経つ今、この先もずっとこのヴァイオリンとともに歩んでいきたいと改めて思っております。