コンセプト

それは、東日本大震災で発生した津波の流木からつくられたヴァイオリン。

震災後、被災地では至るところに大量の流木が積み上げられました。
日々伝えられるニュースでは、それを「瓦礫の山」と呼んだ。

しかし、その流木たちは決して「瓦礫」などではないのです。

それは被災地で生まれ育ち、幾年もの間人々の営みを見守ってきた木々。
それは震災前、家屋の床柱や梁に使われ家庭をあたたかく見つめていた木々。
その一本一本に、歴史や香りが詰まっているのです。

流木をヴァイオリンとして生まれ変わらせることで、
宿されている東北の故郷の記憶や想い出を、
音色として語り継いでいくことができるのではないか。
その想いから、ヴァイオリンドクター中澤宗幸氏によって、
流された楓と松を用いた一挺のヴァイオリンが製作されました。

被災地復興の旗印となるよう願いを込めて、
魂柱には陸前高田「奇跡の一本松」の木片が用いられ、
裏面にその姿が描かれています。

どれだけ時が流れても、自然への畏怖を失くことなく東日本大震災を決して風化させないこと。
そして"TSUNAMI VIOLIN"の音色の響く場所に人々が集うことで、地域、家族の絆がより深まること。
さらには、
このヴァイオリンが演奏家の手から手へ受け渡されていく過程で、
日本全体のつながりが強くなっていくことを、願ってやみません。

2014年6月現在、
ヴァイオリン4挺、ヴィオラ挺2、チェロ1挺が製作され、
世界中で、その記憶を語り響かせつづけています。